EOS RからEOS R6(初代)に替えて感じる一眼カメラとの向き合い方
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EOS RからEOS R6(初代)に替えて感じる一眼カメラとの向き合い方

相変わらずノロノロ更新ブログですが、前から話題にしようと思いつつ、「もうちょっと使ってから」と先延ばしにしていましたミラーレス一眼「CANON EOS R6」について書きたいと思います。ミラーレス一眼に興味をお持ちの方はご存じかとは思いますが、EOS R6は登場してまだ2年にも関わらず、今年秋に電撃的にmark2が発表され、あっという間に旧機種扱いになってしまい、この記事も今さら書いても微妙な状況になってしまっております。(笑) 中古のR6が大量に市場に出てきて以前よりは手に入れやすくなってきていると思いますので、そういう方の参考にもなれば。(ぐやじぃ~)

このブログのリニューアル後1発目の記事で、主に登山で使うカメラをPentax K3からEOS Rに全面移行したよー、というのを話題にしましたが、今年2022年7月にEOS R6に買い替えました。買い替えの理由としては、EOS Rで感じていた細々した不満点が、R6では改善されていること。写真で見る限りではあまり好きになれなかったデザインが、実物を見ると質感含め意外と良かったこと。そして一番の理由は、今年7月頃、半導体やらなにやらの影響でキヤノンのみならず各社軒並み供給不足になり、それとともに2018年の機種であるEOS Rですら在庫不足で買い取り価格が高騰したこと、その中でなぜかR6だけが流通在庫があり、EOS Rを下取りしての購入がかなり手に届く価格帯になったので、思い切って買い替えた次第です。

EOS RとEOS R6。質感はEOS Rの方が上だが、R6も実物はスタイリッシュなデザインで意外と良い。

8月頃にはEOS Rの後継機種の噂が出始め、「そろそろ4年経つから後継出すタイミングだよなー。ネーミングどうすんだろ?」くらいに思っていたのですが、9月に入った途端R6 mark2の噂が出始めて、「え?もう?」と思ってたら11月2日にはキヤノンが正式発表。まさかEOS Rより先にR6が旧機種扱いになるとは思いもしませんでした。(ぐやじぃ~)

とはいえ、R6を買ったことを後悔しているわけではありませんので、トレッキングで3回、その他何度か使用してのインプレッション、EOS Rとの比較を書いておきたいと思います。

まずEOS Rですが、結構気に入ってました。マグネシウムボディ、先進性にチャレンジしたモードダイヤルや、物理ボタンをなるべく減らした操作系、フルサイズのEOSシリーズらしくないエッジの効いたデザインなど、所有感の良さは今でもEOS Rの方が上と感じます。自分はその前がPentax K3でしたので、AFの賢さはEOS Rの時点でかなりの進歩に感じており、そこに不満は感じていませんでした。まれに飛行機とか動きものを撮ろうとすると、EVFの追従やAFの追従が厳しくてチャンスを逃すことがありましたけど、自分はそういう被写体がメインではないので、「しょうがないか」くらいの感覚。

どちらかというと、細かい仕様の部分。瞳AFオンにしていると、水平計が表示できないとか、インターバル撮影機能がEOS Rだけ内蔵されていないとか、ちょこちょこと地味に不満なところがあり、これくらいならファームアップで強化されるかなと思っていたのですが、結局そのままでした。あと、EOS Rではファインダーを覗いたままタッチパネルを親指でグリグリしてAFポイントを動かすのですが、思った位置にすぐもっていけない時があり、マルチコントローラーの方がやり易いのかなーと思っていたところ。「それくらいなら別に買い替えなくても」とは思いますが、高感度性能が上がりより暗いレンズが活きてくること、レスポンスが全般的に速くストレスがより軽減されること、マルチコントローラーをはじめとして操作系も向上することを期待して、最後は「魔が差して」購入してしまいました。

左がEOS Rで右がEOS R6。EOS Rの方がストラップのループ部が作りこまれており、細部までこだわったのが分かる。

まずはデザインについてですが、やはりEOS Rの方が質感が上です。下取りに出す前に両機見比べましたが、他の方のブログなどにも書かれていたように、ストラップを通す部分などの細かいところも、EOS Rの方がボディとの連続性を意識して作られており、あらためてEOS Rが初代RF機として相当気合を入れて作られたんだなと感じます。対してR6はポリカーボネートのボディや物理モードダイヤルなど、より性能面にコストを振ってデザインにかかるコストを落とした「現実派」の印象。ただ、実物はR6もファインダー部のサイドにシュッとエッジの効いたキャラクターラインが入っていたり、ダイヤル類の質感も思いのほか高いなど、決してチープな印象はないです。

EOS Rのエッジが立ったファインダー部も良いが、R6のファインダー部のデザインラインもカッコイイ!

EOS R6にしてまず感じるのは、レスポンスの軽快さと、AFがより賢く、追従性も高いこと。あと、ISO感度をかなり上げても写真として成立するので、自分はオートの範囲を51200まで上げてしまってます。おかげで「暗くてすぐシャッターボタンが押せない!」という状況がおきなくなりました。トレッキングでの利用はまだ3回ですが、歩いて「おっ」と思ったら構えてすぐシャッター切る、というのがストレスなくテンポよくできます。EOS Rの記事で書きましたが、自分はFvモードをメインで使っており、シーンに合わせて主に絞りを自分で決めていましたが、R6にしてからはカメラが提案してくる絞り値がだいたい自分の思った通りの数値のため、絞りすらお任せにするようになってしまいました。

ISO感度51200に上げても、月明かりの港を破綻せず撮れる。

また、AFについても、カメラ業界界隈では「EOS R3よりも前に出た機種のAFは弱い」みたいな言われようですが、自分が使う限りではEOS R以上に思ったところにAFポイントがいくので、自分でAFポイント動かす機会が減っています。R6はマルチコントローラーでAFグリグリすることもできますが、そもそも過去からEOSシリーズを使っていたわけではないためか慣れず、AFポイントの修正は画面タッチでやっちゃってます。

操作系という点で言うと、よくEOS R5/R6はEOS Rと異なりEOS 5Dシリーズの操作系に寄せているため、使いやすくなったというコメントを見かけますが、PentaxからEOS Rに入った自分としては、特にメニュー操作などはEOS Rの十字キーの方が直感的に操作できて良かったです。R6はサブ電子ダイヤルなど3つの電子ダイヤルを使ってメニュー操作をするのですが、これがなかなか慣れない。RICOH GRIIIも並行利用しているので、十字キーの方が統一性があるんですよね。ここはどの機種からスイッチしてきたのかによって意見は分かれるところかなと。

操作系はEOS 5Dに寄せてきていますが、自分は背面のサブ電子ダイヤルなどは慣れず、マルチコントローラーもほとんど使っていない。

EOS Rを手にしたときに、これは一眼カメラのインタフェースも1から再定義して、そぎ落とすところはそぎ落として、シンプルな操作系に落とし込んだのだと思いましたが、R6のAF性能やオートの設定数値の賢さを体感すると、この性能がEOS Rの筐体に載れば良かったのでは?と思います。それくらい、R6はその時のシチュエーションでいろいろ考えなくても、とにかく構図とシャッターを切ることに集中すれば良い機種との印象です。そして、動きものにも強いし、暗さにも強い。最近キヤノンは普及帯のRFレンズに「軽くて」「小型で」「暗い」レンズをどんどん投入していますが、高感度に強いR6であればこれらレンズの暗さの弱点を補えるし、登山などは特にそうですが、「軽さ」と「小ささ」はトータルの撮影を考えたときに強力なメリットになります。以前であれば望遠のズームレンズを登山で持っていくことは考えにくかったですが、RF100-400mm F5.6-8など軽くてコンパクトな望遠であれば選択肢になる。そしてRF16mm F2.8などはとりあえずザックの片隅に放り込んで持ち出せる。これは大きいです。

突然の夕陽も逃さず撮影。キヤノン機は赤系に強い印象で、風景だと朝夕の色表現が得意なイメージ。

R6は高感度耐性が高い反面、有効画素数が2010万画素と、EOS Rの3030万画素と比べて数値上ではだいぶ粗くなるように思えます。ただ、普通に風景写真などを撮っている限りでは自分はそこに不満は感じません。山行中に動物を見つけたとき、例えば雷鳥など、近くに寄れず遠目から撮った時など、トリミングしたい時が時たまあり、この場合はそのままトリミングすると粗さが見えてくる可能性がありますが、自分はその場合、Lightroomの「スーパー解像度」という機能で画素を水増しした上でトリミングしちゃいます。2000万画素の恩恵があまりにも大きく、このためだけに画素数を上げたいとは思いません。(R6 mark2は同じ高感度耐性で2400万画素にアップ、ぐやじぃ~)

望遠端いっぱいの105mmでも、雷鳥に寄り切れなかったが。
スーパー解像度で画素水増しした上でトリミングすると、見た目の画素数を落とさずにアップできる。

さて、ここまでダラダラとEOS RとEOS R6の比較について書いてきましたが、ほとんど不満のないR6を使っていてふと考えこんでしまいました。苦手な被写体は無く、あまり考えなくてもシャッターを押せばそこで撮れるベストな結果を出してくる、これはすごいことなのですが、反面、今の環境を考えて、絞り値やシャッタスピード、ISO感度の落としどころや、カメラのクセを考慮し操作したうえで、シャッターを切る、といった撮影体験がだいぶ無くなっている。べつにR6でもマニュアルでいろいろ操作すれば良いのですが、結果が同じなら軽快性を優先してしまう自分がいる。EOS RからR6にしたことで、この「撮影体験ロマン主義」から「現実的結果主義」の領域に踏み込んでしまった感覚になりました。最初に述べたEOS RとEOS R6のデザインと機能に対する考え方の違いに通ずるものがあるなと。

EOS Rではまず撮れなかった構図。速い動きを追いながら、R6でも連写した上での1枚なので、写真整理が大変だけど。

レンズはアナログ光学の要素がまだまだ大きいですが、もはや一眼カメラ本体に関してはデジタルモノであり、最良の結果を出す機能は今後もどんどん進化するでしょう。そしてこれはソフト面含め撮影概念をどんどんアップデートしてくるスマホとの住み分けも、悩ましいものになってくると思います。そういった意味では、「一眼カメラの撮影体験」は、空冷2気筒のトラディショナルスポーツバイク等のように、人の感性に寄り添い愛される方向に向かっていくのかなとも感じます。EOS R6、なかなか考えさせられるカメラですね。

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2 comments
  • 私も山に行った時にきれいな写真が撮りたいと思いNikonD5500を買いましたが、結構がさばるので最近はパナのLF1ばかりを携行するようになっちゃいました。これ、ファインダーもあるし、ストラップ取付穴も2か所あるので首から下げらるのですよ。
    でも、来年は一眼の方を持って山に行こうかな。

    • 岩松さんコメントありがとうございます。
      D5500からLF1ですか。大きさも重さもだいぶ違うので、あらためて一眼に戻るのはなかなか悩ましいですね。。。でも、それだけ山だと小型軽量って大事な要素ですよね。LF1はライカレンズですし。
      嵩張るオートマチックな一眼に冷めた先は、まさにライカみたいなカメラの世界になるのかなと思ったりしますが、お値段を見て現実に引き戻されています。(笑)

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