山で使う三脚の話 中国メーカーの台頭
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山で使う三脚の話 中国メーカーの台頭

以前、キヤノンEOS Rの記事で少し触れましたが、フルサイズミラーレス一眼に変えたことで、山での三脚の出番が相当減ったよ、って話に触れましたが、今回はその「山で使う三脚」の話題です。

過去の山道具レビューにも書いてありますが、登山時の三脚については結構紆余曲折してきています。カメラの三脚ってのはその上に乗せるカメラが微動だにしないのが大事なので、大きくて重いやつで、振動にも強いやつ、を求めていくものなのですが、登山は逆に小さくて軽いほど機動力が増すし、削られる体力も少なく済むので、この落とし所が悩ましいものになります。過去、SLIKのスプリントPRO2から、Manfrotto BeFreeに変えたところまで記載してましたが、アルミのBeFreeはどうも細かい振動が収まらないケースが多いのと、経年劣化かだんだん時間が経つと沈んだりする傾向があり、やっぱ軽くて振動にも強いカーボン製が欲しいねん、ということで色々物色した際、どうも中国メーカーの三脚があなどれないぞ!という情報を多く見かけ、シルイ(SIRUI)というメーカーのT-024X+C-10Xのセットを2017年1月に購入し使っていました。

SIRUI T-024Xカーボン三脚。最初は聞き慣れないメーカーで悩みもしたが、カーボンなのにとにかく値段が安い。

シルイのT-024XはBeFreeよりも軽く、かつアルミではなくカーボンなので振動にも強い。様々なレビューで触れられている通り、ネジや足の出し入れ時の工作精度だったり質感が高いことにもビックリしました。それでいてカーボンなのに雲台込みで24,400円だったので、財布にも優しい。これまでマンフロットの三脚ばかり使ってきましたが、マンフロットって独自のクイックシューなので、アルカスイス互換のクイックシューはシルイが初めてでした。世の中的にはこちらの方が規格としてはポピュラーみたいですね。いずれにせよ、3代目登山用三脚はこのシルイT-024Xで2シーズン少々過ごしていました。

出した足を引っ込める時も、スススッと下りてくるし、締めたり緩めたりの加減も良い。相当工作精度が高いなと思わせる。

これまでの延長線上での使い方としては良かったんですが、2019年シーズンからカメラをこれまでのペンタックスK-3からキヤノンEOS Rに変えたことで、この3代目三脚にも不満が出始めてしまいました。

カメラをEOS Rにしたため、まず高感度性能が上がり、少々明るさが足りなくてもシャッタースピードを稼げるようになりました。これはセンサーサイズの影響と、世代が新しいというのもあるでしょう。それと、EOS Rになってオートフォーカス性能が格段に上がり、手持ちでもピントがばっちりの写真が高い確度で撮れるようになったこと、また、動画を撮る際に長回し固定するのによく三脚を使っていたのですが、手持ちで撮っても多少のブレは動画編集ソフト側でたいぶ軽減できるようになったことが挙げられます。(これはEOS Rというより、Final Cut Pro Xの機能だけど) つまり、三脚を使いたいと思う機会が相当減ったということです。

雲台込みで1kgを大幅に切っている。BeFreeから約500g減るだけで相当ズッシリ感がなくなる。

こうなると、例えばテント場をベースキャンプとしてアタックザックなどの身軽装備で山頂を目指すため、どの道具を持っていくかを選別する時に、重くて嵩張る三脚は候補から外れることになってきます。実際、2019年夏に塩見岳に行った際は、三伏峠から塩見岳の往復の際に三脚を置いていくという選択をしました。これがきっかけで三脚不要説が自分の中で湧き上がってきてしまいました。

シルイの三脚も実測で937gなので、一眼レフを載せられる三脚の中では相当軽い方なのですが、これでも負担にしか感じなくなってしまい。悩んでいた中でYouTubeで見かけたのが、ミニ三脚。しかも一眼レフをちゃんと載せられる三脚として「Leofoto MT-03+LH-25」というやつのレビューを見て、買ってしまいました。

Leofotoのミニ三脚。アルミだがしっとりした金属感で、ミニ三脚といえどしっかりしていて質感も高い。

このLeofotoのミニ三脚も中国メーカーなのですが、ミニ三脚だけどすごく剛性感が強く、ネジ部も「しっとりと」した感じで可動します。(イメージわかるかな?) 足も折り曲げられたのを広げる形で2段階の高さが確保でき、かつこの三脚の特徴でもありますが、カニの足みたいに折り曲げたまま設置もできます。山頂などで三脚設置する際に、下がザレていたり、デコボコした岩のケースがほとんどなので、足の長さで調整できない分この「曲げ」で調整できるのは良いです。ちょっと見た目はなんですが。

秘技、カニモード。細くて頼りなく見えるが、この状態でもレンズ付きフルサイズミラーレス一眼を支えられます。

フルサイズ一眼レフのEOS Rを載せても全くグラつかず、また、クイックシューもアルカスイス互換を選べるので、シルイの三脚と共通化も可能。結構衝動的に買ってしまったけど、なかなかGOOD! これで重量は332gなので、重さ3分の1になり、かつ畳んだ状態も、軽くザックのサイドポケットに差し込めるほどコンパクト。これなら山頂アタックの時も躊躇せずに持ち出せます。

クイックシューはアルカスイス互換のものをチョイス。こちらも本体同様に質感よくしっかりしている。

実際、このLeofotoのミニ三脚で2019年シーズン後半の常念岳と平標山は撮影しましたが、日の出のシーンもバッチリ撮れました。常念岳の時に星撮りもトライしましたが、これも全く問題なく、EOS Rのバリアングル液晶と相まって結構使い勝手良かったです。ただこの時、レンズのマニュアルフォーカス操作のミスで、星の写真自体はボケボケになっちゃったので写真自体はボツになりましたが…これは三脚のせいでは無いですけどね。唯一の弱点としては、当然高さが稼げないので、草が生えているところで草より頭を出して撮る、みたいな使い方ができないことですが、まだまだ数こなしてないのでそれが致命的と感じる場面は出てきていません。

まあなにより、以前ほど「重くても三脚担いで登る俺パワフルだぜ!」みたいな気概はなくなっているので(笑)、重くて使わないシーンが多くなった三脚よりも、軽くて小さくて使いたい時にサッと使える三脚の方が良かろうと、まあそういう話です。これはカメラそのものにも言える話ですが、重くて性能が良いカメラよりも、軽くてサッと取り出せるカメラの方が結果撮る枚数も増え、たまにある偶発的な最高の場面を撮り逃さない、ということにも繋がります。自分の体力と、求めたい結果をよくよく見定めて道具選びしましょ。つーことですな。これこそ、いわゆる「三脚の沼」というやつですけどね。

Leofotoのはミニ三脚なので332gの軽さ&コンパクト! 小さいザックにも気兼ねなく突っ込めます。

で、ここのところのコロナの影響で登山も自粛なのですが、4月から続いているテレワークでこのミニ三脚が大活躍しています。ZOOMやTeamsでWeb会議する際に会社のスマホを使うのですが、その固定方法をどうしようと思っていた時に「あ、ミニ三脚あるじゃん」と、このLeofotoの三脚にスマホホルダーを追加して使い出したらこれがバッチリ! さらに調子に乗って、追加でマジックアームとLEDライトも買っちゃって、顔が暗くても照明まであてられる、まるでYoutuberみたいなコンパクト撮影装置に。

ここ最近のテレワークスタイル。高さも机の上に載せてちょうど良いんだよね。まさかこんなことで活躍するとは…

さすがに照明はやりすぎなのでネタ的な時しか使っていませんが、これほどのバリエーションもこなせるこのミニ三脚、意図せず相当稼働率の高い道具になってしまいました。でもやっぱ早く山で使いてぇ〜!

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