オーストラリア最大の州、インド洋に面している。他の州とは成り立ちから違うし、東海岸の都市からはとてつもなく離れているので、地元オーストラリア人でも別の国のようになってしまっている。州都パースが唯一の大都市で、日本から直行便も出ている。

Border Village – KALGOOLIE-BOULDER
4/MAR/96
ボーダービレッジを出発するとすぐ、「Welcome to WESTERN AUSTRALIA」の看板が現れた。とうとう最後の州にたどり着いたのだ。ひたすら走り続ける。このハイウェイ沿いの牧場は、羊の牧場だ。広い牧場の一角にたくさんの羊が固まっているのが見える。また、南の方に時折海が見える。砂浜でなく、断崖になっている。おそらく人は全くいないだろう、誰にも汚されない海がそこにはあった。カイグナ(Caiguna)を過ぎると、世界最長の直線区間がある。ひたすら直線でカーブが無い。これは退屈である。

ノースマン(Norseman)につくと、いきなり検疫所が現れた。これは予想してなかった。実はポート・オーガスタで買った桃がまだあったのだ。仕方なく係官に桃を渡すと、ニコニコしながら持っていかれてしまった。あの桃は食べてしまうんだろうか? そんなことを考えつつ町に入る。銀行やペトロ・ステーションに寄るつもりだったが、3月4日はLabor Dayでほとんど休みだった。
カルグーリーに向かうと、にわかに雲行きが怪しくなり、大粒の雨が降り始めた。しかし、降るだけ降ったらすぐやんでしまった。そして、雲で暗くなっている雨上がりの道にカンガルーがピョコンと飛び出した! こっちもびっくりしたが、向こうもびっくりしていたようだ。すぐに木々の間に逃げてしまった。そして空には二重になって虹が出ていた。しかも端から端までくっきりと。

カルグーリーは大きな町なので、宿もすぐ見つかるかと思ったらなかなか無い。町なかにあるホテルは1階がバーになっているホテルばかりで、バーのねえちゃんはお水っぽいし、カウンターで飲んでいる男たちは皆ごっつい奴ばかり。よそ者の目つきでこっちを見ている。さすが金の採掘を行っている町だ。また、競馬好きのオーストラリアらしく、バーのテレビで競馬中継をひっきりなしにやっていて、バーのねえちゃんもゴール前の時は見入っていた。町中をぐるぐる回り、やっとキャラバンパークを見つける。今までで一番いい設備だった。

KALGOOLIE-BOULDER – PERTH
5/MAR/96

カルグーリーを出て、いよいよパースを目指し、木々の中を走りぬけていく。空に雲が見え始め、温帯性のおだやかな風景が通り過ぎていく。途中、貨物列車と一緒に走るシーンも。周りの景色は、生活のにおいがする場所だけになってゆく。遠くにビルが見える。パースが近づいてきたのだ。いつのまにか車が増えている。大都市に近づいてきているのだ。信号も多くなり、道の両脇に建物が並ぶ。何でもない光景なのだが、新鮮に見える。1号線沿いの公園に車を停める。広い芝生と、鳥のいる池。美しい街だ。かつて行ったシドニーと同じようで、どことなく違う雰囲気がある。

我々は海を目指した。ケアンズで太平洋に触れることから始まった横断ドライブは、このパースのインド洋に触れることで達成する。そして、インド洋の夕日が見れるはずだ。海岸は風が強いものの、とても静かで、美しかった。海に足を浸す。横断達成だ! 感無量である。

いつまでも感動に浸っているわけにはいかない。宿をさがさなければならないのだ。街中回っても手ごろなものが見つからず。マクドナルドで一息ついて、本に載っている場所をよく調べると、見つかった。日本人も何名かいるようだった。1階がボトルショップになっているので、そこでウォッカを購入し、乾杯! 気のゆるみからかすぐに酒が回り、いつのまにか寝てしまった。6000kmもの道のりを走りぬいたのだ。我ながら驚きであり、無事たどり着いたことにホッとする。
PERTH
6/MAR/96
今日は1日パース市内巡り。ケアンズでもろくも崩れ去った「コアラだっこ計画」を実現させるため、コフヌ・ワイルドライフパーク(Cohunu Wildlife Park)へ、道に迷いながらも山の中腹にある動物園にたどり着く。ケアンズのワイルド・ワールドと違って、静かなピクニックエリアのようだった。エミューとクジャクがそこらへんを歩き回り、木が多くだだっ広い。コアラマークにそって歩くと、ディンゴやワシが現れる。エミューに手でエサをやり(つつかれると痛い)、ミニトレインの線路を越えると、コアラのゾーンが近づいてきた。コアラを抱いたことのなかった仲間2人は、ここで「コアラ抱っこ計画」を実現したのであった。しかも、普通、園内にいるコアラといえば、枝の間で丸くなって寝ているヤツばっかりなのに、ここのコアラは木の上で喧嘩してジャンプしてるコアラ等、そこそこ元気があった。ここのカンガルーは、でっかいレッドカンガルーばっかりで、皆、木陰でくつろいでいた。やはりここにもオウムがいて、「ハロー」とかしゃべっていた。でも、言葉とは裏腹に仲間の一人はサングラスをかじられるなど、狂暴なやつらだった。

動物園の後は、ビーチを目指す。シティ・ビーチ、スカボロー・ビーチでのんびりする。ピザ屋ででかいピザを食べ、街の中心に戻る。食事をとろうと思ったが、店はほとんど閉まっていた。シドニーでもそうだったが、日本と違って夕方5時6時にきっちり店が閉まってしまう。仕方なく、ホテルに戻り、連日の酒盛り。やはりぐっすり寝てしまう。風呂にも入っていないのに…。

明日からは、さらなる旅が始まる。
