結局そこに行きつく…定番オスプレーとスポルティバ
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結局そこに行きつく…定番オスプレーとスポルティバ

気が付きゃ前のブログ記事が7ヵ月前だったという、いよいよマイペースにもほどがある状況になっていましたが、書きかけていた記事があったのでその話題を(笑)。今回は登山道具に関するネタです。

登山道具の中でもよく、3種の神器と言われるザック、シューズ、レインウェア。このうちザックとシューズに関して、自分は登山歴12年の中でマイナーなブランドも含めていくつかの変遷を経ているのですが、今は結局のところ(これまであえて避けてきた)メジャーブランドに行きついてしまったよ。というお話です。

【登山靴】

まずは登山靴について、このブログでも過去に記載していますが、登山を始めたばかりの頃、テント泊用に選んだのはシリオの「P.F.65 GTX」でした。テント泊を始めるにあたって、シューズ選びは大事だなと思い、日本人の足型に合うということでシリオを選び、用品店で十分に試し履きして購入しました。ところが、自分の足が合っていなかったのか、靴の作りがハードボイルドなのか分かりませんが、登りの際の荷重でかかとがすぐ痛くなり、数年は極厚ソックスとかかとパッドを併用して、我慢して使用していました。

最初のテント泊用シューズとなるシリオPF65。今思えばあの状況でよく4年も使い続けたなと思う。

シリオを使い続けて4年経ち、さすがにこれをソールを張り替えてまで使い続ける気にはなれないと思って買い替えたのが、フィット感に惚れ込んで購入したFITWELL「BIG WALL ROCK」。このあたりからマイナーブランド選びが自分の中で流行りだしていたのかもしれませんが、これはシリオとは打って変わって足入れがソフトで、ソールも岩稜帯に対応したビブラムムラツ(Vibram Mulaz)で、当然こちらはかかとの痛みからは解放されました。デザインも独特でなかなか被らないシューズでだいぶ気に入っていたので、コロナ禍でテント自粛していた時期はあったものの、途中ソール張り替えもしながら約7年間使ってきていました。ただこれも、ややソフトすぎたせいか、山行後半、特にキツい下りが続くとつま先が少し痛くなってくる感じがあり、足にマメができることもありました。靴の中にやや遊びがあったのかなと思います。

2代目テント泊シューズのFITWELL BIG WALL ROCK。ブランド名もマイナーな上奇抜なデザインながら、履きやすさは抜群だった。

2023~2024年シーズンでいよいよ冬山(雪山)を始めるにあたり、2023年秋に冬靴を検討することにしたのですが、冬靴って3シーズンの靴に比べると選択肢が少なくて、かつ、みんなお高いんですよね。。。もちろん足に合わないと最悪なので、やはり登山用品店に行き、LOWAやSCARPAなどいくつかじっくり試し履きをしました。実は本命はLOWAと思っていたのですが、柔らかすぎるのか、実際履いてみると傾斜の際に靴の中で足が動いてしまう。SCARPAもいまいちフィットしない。そして、ぶっちゃけなんかチャラけたイメージと(勝手に)思っていて積極的には選びたくなかったLA SPORTIVA(スポルティバ)の「NEPAL EVO GTX」もしぶしぶ履いてみたのですが、こいつが足入れも快適な上に、斜度のある場所でも足がブレず支えが効いて、圧倒的にフィットしました。念のためそのまま30分くらい店内あちこちウロウロ歩いていたのですが、全く違和感無く、しぶしぶ購入。

そこの店員さん曰く、「チクショウ、結局これが一番足に合うじゃねーかよ!ってしぶしぶ買う人が多いんですよコレ。」って言っていました。まさにオレがそれやんけ。このモデルは他と比較して重量もあるし価格も高いのですが、登山シューズ、特に冬靴ではブランドよりもフィット感の方が大事ですので、抗うことはできず。

雪山デビューにあたり履き始めたスポルティバNEPAL EVO。ここからスポルティバ信者が始まった。

さらに2024年初頭、スポルティバの「TRANGO TRK GTX」が正月セールで安くなっているのを発見。日帰り&小屋泊用としてHOKAの「KAHA GTX」というモデルを使ってみていたのですが、柔らかすぎるせいか、登山後半になると膝が痛くなってくるという症状が出ていたりしたので、やはり他にセールになっていた靴も含め試し履きした上で、この「TRANGO TRK GTX」を購入しました。スポルティバといえば元々トランゴシリーズが有名でしたが、この「TRANGO TRK GTX」は中国製造で安いモデルながら、しっかりクライミングゾーンがあるソールで、もともと日帰り用として購入したものの、実戦での履き心地も抜群だったので、すっかり気に入り2024年夏の北アルプス五色ヶ原~スゴ乗越のテント泊縦走でも使用していました。というか、今は3シーズン登山は日帰りからテント泊までこれしか使ってません。

縦走途中のスゴ乗越で撮ったスポルティバTRANGO TRK。岩場ありの3泊4日のテント泊縦走も難なくこなした。

スポルティバにしてからは、登山中に靴の中で足がズレたり、痛みが出たりといったトラブルがなくなりました。もちろん、TRANGO TRK GTXもNEPAL EVOも自分の足に合っていたのが大きいと思います。ただ、どちらのモデルもそうなんですが、靴紐が緩んでいても不思議とフィット感は変わらず、歩行に支障が出ないため、気づいたら緩んでいた。ということも実際多いです。もちろん、紐の締め方に問題があるのでしょうし、こまめに締め直すべきですが、そんな状態でも違和感が無いという懐の広さが、さすが定番モデルだけあるなと感じさせられました。

なぜかどちらも紐が緩みやすいが、それでも違和感なく履き続けられる不思議なスポルティバの靴たち。

【ザック】

ザックについては、ここではテント泊用の50~60Lクラスのザック遍歴での話となります。(日帰りは以前ブログでも取り上げたRawlow Mountain WorksのBambiをずっと使ってます)

予備知識のない時代に通販で適当に買ったバーグハウスのBIOFLEX50+10。当時は基準無く良し悪しは分からなかった。

テント泊用のザックは結構変わってきていまして、2013年の初テント泊では、通販で買ったバーグハウス「BIOFLEX50+10」を使用、で、2014年2月にヒマラヤトレッキングに行く際に、小屋泊用ザックとしてグレゴリーの「Contour50」を購入。このモデルは今はラインナップにありませんが、当時は重くなりがちなグレゴリーのラインナップの中で、ハーネスを特殊ボンドで薄型軽量化したり、気室がかなり特殊な分かれ方をしているなど、かなり挑戦的なモデルでした。でも、初グレゴリーを体感して、フィット感、ジッパーの作りなど、さすがグレゴリーと思わせる作りのザックで、その気室の作りのおかげか、意外とテント泊装備も詰め込めたので、そこからBIOFLEXに代わりテント泊メインザックとなっていました。

2014年から3年ほど使用したグレゴリーのContour50。使い勝手良くその製品ポジション含めお気に入りでした。

ただ、Contour50はその軽量化を追った作りのせいか、いわゆる快適重量がそれほどキャパシティ無く、当時はカメラ用の三脚やレンズなども含めると17~20kg近い重量だったため、行程の後半になると肩が痛くなってくるのが困りものでした。

2017年2月に昭島のアウトドアビレッジで、当時気になっていたmhm(マイルハイマウンテニアリング)の55Lザックが激安で販売されているのを発見し即購入。またしっかり型のザックに戻りました。快適重量のレンジは上がりましたが、それでもちょっと自分の体には合ってないかな?と思いながら使い続けていました。

ほとんど知る人のいないmhmという北米ブランドのDIVIDE55。ハーネスの分厚さなどドイター並みのしっかりした造り。

2022年に自分の中で少しミレー流行りの時があり、その時にセールでミレーの定番ザック「SAAS FEE 50+15」がだいぶ安くなっていたので購入。まあある意味ここから定番系のザックの世界に入りはじめたのですが、ハーネスの作りに定評があると思って購入したものの、やはりテント泊の後半になると肩が痛くなってくる。いろいろフィッティングの動画などを見て合わせたつもりなのですが、自分の体型的な問題なのかなーと少しあきらめていました。

定番モデルであるミレーのSAAS FEE(50+15)。当時だいぶ装備の軽量化が進んだのに、肩の痛みは避けられず。

ちなみにザックといえば、北米メーカーで言うとグレゴリーと並んでオスプレーが有名ですが、自分が登山を始めた当初から、山でみかけるおじさんおばさんの利用率が高いことと、あのヘビメタバンドのCDジャケットのような炎の模様とかが自分のセンスと合わず、最初から避けているブランドでした。

ところが、2023年に初の小屋泊を計画し、登山用品店でたまたまオスプレーの「KESTREL38」を、小屋泊相当の重しを入れて試着したのですが、腰にぴったり抱き着かれているかのようなフィット感と、あきらかに肩に感じる重みが分散されているのがすぐに分かり、あまりの衝撃にその場で即決購入してしまいました。そのフィット感がどうしても忘れられず、購入して1年経ってなかったSaaS Feeを売却し、テント泊用にも「KESTREL48」を買い直すという、ザック乗り換え史上最速のスイッチングとなりました。当時はロストアロー社の値付けも安かった上、型落ちモデルがセールになっていたのが後押しになりましたね。

現在使用しているオスプレーのKESTREL48。オスプレーの中では安価なモデルですが、自分には今のところテント泊ザックとしてベスト。

これまで使ってきたザックたちは、どれもそれなりに使いやすかったものの、テント泊装備の重量となると10kg以上は当たり前になるので、やはり登山後半になると肩周りがバキバキになっていました。ところがこのケストレルは、ハーネスやヒップベルトなどの設計が絶妙なのか、しっかり腰で支えてくれます。2023年夏から縦走含めて3回ほどテント泊で使用していますが、ずっと腰でしっかり支えられる感覚があり、不思議なほど肩が痛くなりません。

2023年時点での型落ちモデルなので、背面エアフローの形状が今のモデルとちょっと違ってます。

完全にオスプレーに惚れ込んでしまったので、2024年に雪山を始める際に選んだのも、同じくオスプレーの「MUTANT38」でした。こちらもケストレル同様に背負い心地良く、ピッケル等の氷雪装備を加えた重量でも苦にならず、行動時間が長くても快適でした。

こちらは雪山用のMUTANT38。背面はツルツルでサイドポケットも無く、完全に雪山仕様なモデル。

【まとめ】

結局、ザックでも靴でも、世の中の定番になるのには理由がある。ということに、10年以上経って回りまわってやっと気づけた。という感じです。

これらのモデルに変わって以降、背中のザックの重量感と、足のフィット感など、山行中に全く気にすることがなくなったというか、身体の一部となってしまって、そのことそのものを忘れるようになりました。特に登山靴とザックは、ブランドへの強烈なこだわりがある場合を除き、身体への負担をなるべく減らすために自分に合ったモデルを選ぶのが最良であることを、あらためて思い知らされたなと。そして、これらのギア選びは最低限、登山用品店でフィッティングして、ブランドにこだわらずいろいろ試して、身体に合ってるなと思うものを選ぶべきですね。

まあ「やはり王道に行きつく」となったのは、いろんなこだわりの方向性で試してきたからこそ言えることではあります。自分はノースフェイスやパタゴニア、アークテリクスなどの定番ブランドは未だに避けがちな人ですが、同じく避けてきたオスプレーとスポルティバは、今では満足度高く信頼の厚いブランドとなっていますので、いろんな寄り道もまた、発見があってまた楽しいのかなと。

とはいえ、両社に限った話ではありませんが、近年登山ギアがむっちゃ価格上がっていて、かつスポルティバもラインナップが大幅に変わり、TRANGOシリーズのモデルが減り、AEQUILIBRIUMシリーズのモデルが増え、岩稜帯対応で手軽に買えるモデルが無くなってきてしまっているのが気がかり。次のリプレースタイミングの時にも、最適なモデルがあることを祈りたいです。

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2 comments
  • 最初の登山靴は30年前に購入したガルモントでしたが、くるぶしが当たるので苦労していました。その後、LOWAの登山靴に履き替えたのですが、昨年靴底が剥がれ修理しました。でも、ガルモントの方の靴底は全く剥がれる兆候が無いです。接着剤が違うのでしょうかね。

    • コメントありがとうございます。
      確かに靴のフィットの良し悪しの他に、耐久力というのもありますね。
      自分は1足をそこまで長く履いた経験は無いのでソールが剥がれたことは無いですが、他のスポーツシューズとかでは加水分解で剥がれた経験はあるので、ミッドソールの素材の違いなども関係しているかもしれません。
      せっかく自分の足にあった靴なのであれば、修理して長く使い続けられるのが良いですね。

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