POLARTECざんまい!
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POLARTECざんまい!

ブログ更新サボっているうちに年が明けてしまいました。ということで新年あけましておめでとうございます。

とは言え、新年早々災害や事故が起きてあまり気分的にはなんですが、気分転換がてらに新年1発目の話題としまして、トレッキングギアネタを語ってみたいと思います。切り口としまして、自分が好んで使っている素材メーカーのポーラテック(Polartec)をネタにしようかと。

ポーラテックという素材ブランド名はフリースで有名かと思いますが、フリースをベースにして色々な機能性素材を供給しています。よくアウトドア系の服にタグがぶら下がっていますが、そこにもそれぞれの「POLARTEC® POWER ホニャホニャ」とか、機能素材名が記載されていますね。ポーラテックのサイトを見るとFABRICSのところで現在展開されている素材が表示されていますが、20種類くらいの素材があります。ポーラテック好きとは言え、さすがに全部は体感したことはないですが、数えてみたら10種類は所有もしくは所有歴があるので、それらについて感想をつらつら書いていきたいと思います。題して、正月らしく「ポーラテックざんまい!」

まずはBASEカテゴリの素材から。

POLARTEC DELTA(ポーラテック デルタ)

デルタはポーラテックの各種素材の中で、おそらく一番肌をドライにかつクールに保つ素材かなと思います。自分が持っているのはREIGNING CHAMPというところのポロシャツで、真夏のゴルフ用に使っています。山道具を期待して見て頂いた方にはいきなり申し訳ないのですが、デルタは山向けでは無いと思います。というのも、山では肌をドライに保つのは汗冷え回避としても大事なのですが、このデルタは肌をすぐクールにもしてくれます。他の素材でも触れますが、夏の山でも「暑い」から、天候変化や稜線の風、時間帯、標高などで、すぐ「肌寒い」まで変化します。ミドルレイヤー以上とは異なり、ベースレイヤーは簡単に脱ぎ着できませんので、対応できる温度幅が重要。その点でデルタは思い切りクール方面にふっているので、真夏のスポーツとか向けかと思います。その点で、真夏のゴルフではクソ暑くて汗だくになっても肌はドライになっていましたので、ある程度は快適です。とはいえ日本の真夏はシャツ1つでどうこうなるレベルではないですが…

POLARTEC POWER DRY(ポーラテック パワードライ)

これもベースレイヤー系の中では、その名の通り肌をドライに保つよ~っていう素材です。登山系というよりは、比較的トレラン系のシャツで使われているイメージ。自分は夏の登山で使う想定で、Afterglowというガレージブランド?の半袖シャツとパンツを持っています。ただ、これらは山では1回使っただけで、今はもっぱら真夏の街用や夏の下山後の着替え用になっています。というのもこの素材もややデルタに近く、肌はドライにはなるのですが、冷えも感じやすいので、山だと対応温度幅が狭い感じがします。トレランのようにずっと運動し続ける想定であれば良いかなとは思いますが、比較的ストップアンドゴーが多い普通の登山向きではないかなと。ただ、真夏の街着としては快適です。

POLARTEC POWER WOOL(ポーラテック パワーウール)

ベースレイヤーとして自分的イチ押しなのはこのパワーウールです。パワーウールは最近よく見かける化繊とウールの混紡ではあるのですが、肌に触れる側をグリッド形状のウール素材にして、外側に速乾性の高い化繊が配置されています。これが絶妙な組み合わせなんです。自分は他のウール化繊混紡のシャツも持っていますが、同じグリッド構造でも肌面側に化繊があると、肌がややチクチクするし、むず痒くなってきちゃうんですよね。パワーウールの製品は、P.RHYTHM outerwearの半袖シャツとパンツ、MOUNTAIN MARTIAL ARTSのロングスリーブシャツを持っていますが、どちらも肌へのあたりがソフトで心地よく、そこそこドライに保たれる。そしてなにより温度対応幅が広い! 真夏のクソ暑い中から、朝方のヒンヤリした時間帯まで、暑すぎず寒すぎずをキープしてくれます。自分はパワーウールを使い始めてから、ミレーのアミアミ(いわゆるドライレイヤー)は使わなくなりました。パワーウールの製品っていま市場にあまりないのが残念なのですが、そのため山行での着回し用に同じのを複数買い増ししたくらい気に入ってます。

POLARTEC POWER GRID(ポーラテック パワーグリッド)

ポーラテックのサイトではBASEカテゴリにありますが、自分としてはここから保温着としての位置づけになります。このパワーグリッドもパワーウール同様に結構幅広い温度帯をカバーする素材になり、同じパワーグリッドでも生地厚が125g/㎡、139g/㎡、240g/㎡などの種類があるようで、通気性や軽さを重視するか、保温性を重視するかでチョイスされる生地が変わります。自分は登り始めるとすぐ暑くなってしまうので、薄手の保温着が一枚欲しいと思っていて、Answer4のPower Grid Full-Zip Hoodieを購入して使っています。これは生地厚があまり厚くなく、たためば比較的コンパクトに。朝方の寒い時間帯でのハイクアップや、高度を上げて稜線に出た時など多少肌寒くなる状況下で、先ほどのパワーウールのベースレイヤーの上に迷うことなく着ることができます。さらに風が吹いてきて寒いようなら、ウインドシェルを着れば夏場はほぼ対処できます。このパワーグリッドはパワーウール同様に春夏秋と利用シーンが多く、重宝します。ただ、この素材は生地厚で性格がだいぶ変わると思いますので、買う際は前述のように自分の用途と生地厚が合っているか?をチェックする必要があります。

POLARTEC POWER STRETCH PRO(ポーラテック パワーストレッチ プロ)

これもBASEカテゴリに入っていますが、このあたりからはほぼフリースですね。(笑) 自分は7~8年前に山でも街着でも使えるフリースが欲しいなーと思って、Houdiniのパワーフーディを購入し今でも街着で使っています。当時から「病みつきになる着心地」として有名でしたが、本当にその通りで着心地は抜群に良いです。その名の通りストレッチ性が高く、ちょっとした保温着としても程よい保温性です。数年間は山でも使っていたのですが、結構嵩張るのが今どきの山ギアとしては弱点です。昔は大きめのザックに無理くり詰め込んでというのもやってましたが、ここ数年の自分的山道具ダウンサイジングブームの中ではリストラ対象になってしまいました。ただ、ちょっとした買い物など街着としてはいまだに重宝しています。あと、最近同じHoudiniのアウトライトパンツも小屋泊用に買って持っていますが、泊まりツーリングの部屋着など、こちらも着心地の良さが重宝して目的外利用(?)が増えています。

POLARTEC ALPHA/ALPHA DIRECT(ポーラテック アルファ/アルファダイレクト)

ここからはポーラテックのサイト上ではINSULATIONカテゴリになります。近年のポーラテックを語る上で外せないであろう素材がこのアルファでしょう。紹介動画でもバリバリに米軍が出てくるくらいガチ向けに作られた素材で、この素材が保温着として使われだして、登山界に「アクティブインサレーション」なるカテゴリを生み出しました。ようは行動着としてそこそこ保温もするし、通気性が抜群なのでオーバーヒートしない。アルファは「呼吸する中綿」なんて名称も付いていますね。よく比較される帝人のOcta(オクタ)もこれと同様の機能を持ち、これらの素材を採用した保温着が各社からたくさん出ています。自分はアルファを採用したミレーのアルファライトスウェットジャケットと、アルファダイレクトだけで作られたAnswer4のAlpha Direct Long Sleeve Tshirt(そのまんまの名前やね)を使用しています。メインで使う時期は春もしくは秋ですね。どちらも汗抜けは抜群で、多少暑くなってきても脱ぐタイミングを遅らせることができるくらい。ただあくまで行動着なので、テント場での停滞時などの保温着としては弱いです。ここは素直にダウンを使用しましょう。Answer4のアルファダイレクトは軽くてコンパクトになるので非常に使い勝手が良いのですが、ミレーの方はやや重くて嵩張るのがネック。なのでここは別素材のジャケットに浮気予定。(笑)

POLARTEC THERMAL PRO(ポーラテック サーマルプロ)

サーマルプロはいわゆる昔からあるフリースの一種です。ポーラテックでは昔ながらのフリース素材はものすごく種類が多く、200とかの生地厚表記のものや、Classicという表記のものがありますが、サーマルプロはグラム当たりの保温性を維持しながら色んな用途の服に応用できますよー、という素材です。ですのでサーマルプロだからどうこうと一概に言えないのですが、自分はこれに該当するものとして、ミリタリー系好きな方にはお馴染みのECWCS Gen3 Level3フリースを持っています。米軍放出品を5000円くらいで購入しました。本当はこれ、雪山デビューするにあたりインサレーションとして使おうと思って購入したのですが、結構嵩張るのでおそらく山には持って行かない予定。ただ、サーマルプロの名の通り、着るとかなり暖かいので、専ら部屋で寒くなった時に着てたりします。あとガチで寒い時の中間着で着るかな。最近はプリマロフトなど人工ダウン的な素材も進化が進み、かなり軽量コンパクトが重視されてきているので、かつてフリースは登山では重宝されていた素材ですが、雪山といえども重さと体積でチョイスし辛くなっちゃったな。と感じます。

POLARTEC HIGH LOFT(ポーラテック ハイロフト)

ハイロフトは、以前はサーマルプロ ハイロフトって言ってた気がするのですが、今では単独の素材になっていますね。まるで動物の毛皮のように人工毛が立っていて、文字通りロフト高を稼ぐことで空気の層を作り、保温性を高めた素材です。最近の山メーカーから出ている暖かそうなフリースはこの素材が使われていることが多いですね。自分はHoudiniのハイロフトフーディーを持っていて、冬の街着に使っています。自分はアウターとして着ますが、風が吹くと結構抜けてくるので見た目ほどは実は暖かくなかったりする。まあこれは最初から山で使う目的では買っていません。このあたりの素材になってくるとハイクアップの際に着るには暑すぎになってしまいます。かといって停滞時に着るならダウンのようにもっと軽量でコンパクトなものが良い、になってしまいますので。Houdiniは街着でもオシャレ?に着ることのできるウェアが多いので、街着方面になると好んで採用してしまうのよね。なかなか安売りしてくれないんですけど。

POLARTEC WIND PRO(ポーラテック ウインドプロ)

ウインドプロはフリース繊維の目を詰めて、防風性を高めた素材です。フリースは本来、保温性と通気性、速乾性の両立がメリットですが、その通気性とのトレードオフとして風が吹くと寒くなるのが弱点でした。本来これはシェルなどで防御するものなのですが、フリースだけで防風性も維持しようというのがウインドプロですね。自分はウェアではなく、雪山用のキャップとしてアウトドアリサーチのウインドプロハットを持っています。が、雪山デビューはこれからなので、まだ一度も使用しておらず、したがって感想も書けません。あしからず!

POLARTEC NEOSHELL(ポーラテック ネオシェル)

これだけWEATHER PROTECTIONカテゴリですが、こちらも10年前くらいに登場してレインウェア界を騒がせて、GORE-TEX一強状態だったのを揺さぶった素材ですね。この素材が登場して、特に日本ではティートンブロスが積極的に採用して一躍有名になりました。動画を見ても分かりますが、当時GORE-TEXが謳っていた防水能力は我々庶民にはオーバースペックであり、それよりも通気性が大事やねん!というのをアピールし、他のeVentなどの素材も出てきて、ビーカーの水に素材を被せて空気をブクブクさせて通気性を比較する動画が海外を中心によく出ていました。また、当時のGORE-TEXはガサガサするメンブレン素材だったので着心地が良くなかったのですが、ネオシェルは柔らかく着心地の面でも優位性がありました。ただ、GORE-TEXもすぐにC-KNITという肌触りの良いGORE-TEXを出してきて、今やこれがストームクルーザーにも採用されるほどメジャーになったので、巨人GORE-TEXの存在は変わらなかったですね。自分は2017年にティートンブロスのブレスジャケットを購入し、5年くらい持ってました。実際に雨のシーンで使ったのは2019年まででしたが、何度か雨の中で使った感想としては、いくら通気性が高いとはいえハイクアップ時はやっぱり中がモアっと暑くなって少し蒸れましたね。その点は正直それまで使っていたGORE-TEXのストームクルーザーと変わらなかったかと。ただ着心地はソフトで良かったし、当時としては軽かったのでそれは良かったです。今は各メーカーが独自の防水透湿/通気素材を使った軽量なレインウェアを出していますし、フッ素化合物規制で一時期ネオシェルは素材自体を出せなかったっぽいので、一定の役目は終わったのかなと感じますね。次なる進化に期待かな。

案の定長くなりましたが、一度ポーラテックについては書いてみたかったので、振り返りができました。ていうかこんなにいっぱい持ってたんだオレ。ポーラテックのサイトにはいつのまにか知らない素材が増えているようなので、これからも山屋のスタイルを変えるような革新的な素材に期待したいですね。日本の帝人オクタやプリマロフトなど、期待の大きい他社素材もあるので、ぜひ切磋琢磨してまた買い物欲を刺激して欲しいぞ。(刺激されすぎると困るけど…)

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2 comments
  • 新年おめでとうございます。
    POLARTECという素材が有るのですか。たぶん持っている山着の中には無いと思います。
    夏のバイク用としてはよさそうですね。
    次の山着を買う時には、POLARTEC素材の山着を気にかけてみます。

    • あけましておめでそうございます。コメントありがとうございます。
      パワードライのベースレイヤーは夏のバイクでも使えますね。
      冬は保温の重ね着にインサレーションを加えたりしています。(山着の保温着は防風性弱いのであくまで付け足しですが)
      ここ数年で山着の素材も進化していますので、いろいろ調べてみると楽しいですね。ただここ1~2年の為替の影響でどれもお値段がずいぶんお高くなっているのが厳しいところです。

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