たまに取り上げるオーディオネタでございますが、今回はだいぶ久しぶりにイヤホンとそれを取り巻くオーディオ機器についてのレビューのようなものを書きます。(レビューと言い切れるほどの耳は持ってませんので)
2006年から2007年頃のブログネタでEtymotic ResearchのER-6iについて書いたことがありましたが、以来、イヤホンはhf5のRubyというカラーにスイッチし、その後断線したのか忘れましたが、hf5のCobaltというカラーを使用と。完全にEtymotic Research信者になっておりました。これらは主に、通勤の帰りの電車でiPhoneに繋いでSpotifyで音楽を聴くのがメインの利用となっていました。
これで特に不満は無かったのですが、数年前にiPhone6SからiPhone8に機種を買えた時に、3.5mmジャックが無くなってしまったので、ワイヤレスイヤホンを手に入れようとあれこれ探ったり、家電量販店で気になる機種を試聴したりしてみたのですが、長年エティモ漬けになっている私の耳だとどれを聞いても音がスカスカに聞こえてしまい納得できず、結局EarStudio ES100というBluetoothレシーバーを購入しhf5をそのまま使い続けました。ES100もコンパクトながら音質良く、しばし不満無く過ごしていました。
ところが、このES100に付いているクリップがもともと弱っちいなと思っていたのですが、プラスチック部分が割れてしまいクリップが中途半端に壊れてしまいました。しばらくそのまま使ってましたが、クリップが無いと不便な時もあるので買い換えようと思った時に、ちょうどFiiOという中国のメーカーからBTR5という機種が出る事を知り、これが結構良いDACを積んでるみたいだし、筐体もしっかりしてそうなので、予約購入しちゃいました。

このBTR5ですが、ES100と比べると同じhf5でも若干音の厚みが異なる印象でした。BTR5の方が音に厚みがある感じ。ただ、すごい差がある、というほどのものではない感じなんですよね。気になる筐体に関しては表面はガラスコーティングされて高級感あり、クリップもクリアケースに付いていてしっかりしてそうなので、その点は期待通りでした。あと、ES100と同じ様にIOSアプリがあり、いろいろと設定を変えられるのですが、アプリに関してはES100の方が使いやすいです。FiiOのアプリは音楽再生がメインなので使い辛いし、反応も悪いです。(※追記:FiiOさんからFiiO ControlというアプリもあるよとTwitterにコメント頂きました、確かにこちらの方がシンプルで使い易いです。反応はやっぱり微妙だけど。)
このBTR5+hf5体制で1ヶ月くらいかな。音楽を楽しんでいたんですけど、BTR5(ES100もだけど)って3.5mmの接続の他に2.5mmのバランス出力も持っており、ES9218PというDAC2基を独立して使われるのはバランス接続でないと本領発揮しないというのを知り、hf5をバランス接続しようとしてもケーブルが容易に変えられないため、mmcxコネクタでケーブル交換ができるER3XRを購入してしまいました。そうまたもやエティモティックでございます。

Etymotic ResearchといえばフラッグシップのER4SあらためER4SRが圧倒的知名度なのですが、これだけエティモ信者を続けてきた私でも恐れ多く(笑)、一段下のER3シリーズにしました。ER3はおそらくポジション的にはhf5の後継と考えて良いのではないでしょうか? またER3にはER3SEとER3XRという2機種あり、SEはこれまでのエティモの特徴であるフラットで原音に忠実なサウンド、XRは弱いと言われてきた低音をブーストしたサウンドという味付け。これまでの流れからするとSEを選ぶところなんでしょうけど、なぜかXRの方に惹かれてER3XRを選んじゃいました。
で、まず純粋にhf5とER3XRを同じBTR5の3.5mm出力の条件で聴いてみると、ER3XRでは音が明瞭になって、かつ低音ブーストが効いているせいでキックやベースの音が前に出るようになり、音楽の迫力が増しました。音が明瞭になるという点では、hf5よりはER3XRの方が上だなと感じるのですが、長年エティモ漬けになっている私の耳にはこの低音ブーストによる迫力アップは、新鮮ではあるのですがちょっと違和感が拭えない。しばらく使っていてもそう感じるので、慣れだけの問題ではないようです。これまでのEtymotic Researchの音に不満が無いのなら、ER3XRではなくER3SEの方が違和感はないのかもしれません。ただ、低音は前に出ると言ってもエティモのBAドライバーですので、音がボヤッとすることはないです。非常にキレのある締まった低音です。

さてさて、一番の目的であるバランス接続についてですが、バランスケーブルはひさご電材のonso 03 2.5 MMCX L型というケーブルを購入しました。ER3XRのmmcxコネクタは切り欠きがありちょっと特殊みたいなのですが、onsoのこのケーブルはちゃんとこの切り欠きに合うし、L型形状なのでほぼ純正のように簡単に交換できます。で、このバランスケーブルを通して聴くと、まったくもって次元の違う音になりました!

まず、音場が広がり、音が立体的に聞こえます。何言ってるか分からないと思いますが、本当に1つ1つの音が盛り上がる感じ。かつ、その1つ1つの音は角が取れていて決して刺さる様な音でも無い。ER3XRに変えた際に感じた迫力の違いは、バランス接続になることでさらにパワーアップします。なんだろこの音の違いは言葉で表すのが難しい。カタカナワードでいうと、「ダイナミック」「パワフル」「ドライブ」みたいな感じ。余計伝わらないか… とにかく聴いている世界が変わります。バランス接続でここまで変わるとは、正直ナメてましたすみませんって感じ。
これだけでも感動なのですが、BluetoothではなくUSB-C経由でパソコンに繋いで同じSpotifyの曲を聴いてみると、さらにスゲー音になりました。iPhoneはBluetooth経由ではAACというコーデックで音楽信号が送られるのですが、USBだとその制限がなくなるためか、明らかに音の情報量が増し立体感がすごくなります。音なんてプラシーボ要素も多いので「違うかも」くらいな変化しか感じないことも多いですが、これは明らかに変わります。う〜んこんなにも変わっていくとは。恐れ入りました。

ということでBTR5とバランス接続のER3XR体制で、ハイグレードな音楽体験の通勤生活が始まったと思いきや、このコロナ禍の影響で原則テレワークとなり、利用機会が激減。家で音楽聴くならスピーカーで落ち着いて聴くし、車ではイヤホンしないし。しかもZOOMやTeamsでのWeb会議は3.5mmジャックを持つ会社のAndroidスマホを使うため、引退させたつもりのhf5を引っ張りだして使っているという。うぬぬコロナめなんてことしてくれる。というところですが、まあ通勤自体しないのはラクだわな。なので、家でもたまにこのER3XRで聴くと新鮮な感じで音楽聴けます。はい。