医療崩壊を防ぐべく自宅引きこもり状態の土日ですが、ただただ指をくわえて…いや指はくわえちゃマズイので、ただただじっとしているのもシャクなので、1年ちょい前に組んだ自作PCでFolding@homeというウイルスのたんぱく質解析プロジェクトに参加し、COVID-19ウイルス解析に協力をし始めてみました。という話題を書きたいと思います。自作PCの話ってマニアックな話なので以前よりネタに取り上げるか迷ってましたが、今なら書いても良いかなと(笑)
まずは自作PCの話からですが、数年前にTVゲーム機を売却した際に、たまにゲームしたくなった時用のPCを組んでみたい、という流れから、案の定、自作PCそのものに興味深々になり、この世界に入り始めたという感じでした。で、知識とともに色々と構成を変えながら昨年1月に「本格水冷PC」というマニアックの中でもよりマニアックな領域のPCを組み上げてしまった次第です。
自分が組んだのは、NCASE M1というMINI-ITXケースに、CPUがAMD Ryzen5 2600X、GPUがGeforce GTX 1080という構成で、自作PCとしてはコンパクトな構成にしてます。もともとゲーム機の代わりのつもりだったので、MINI-ITXでコンパクトに組むのは自作PCを始めた時からのコダワリです。NCASE M1はもともとはクラウドファンディングから生まれて、やや高価だけど非常にカスタムし易い、メンテもし易いというケースで、今現在は第6世代が販売されていますね。私が組んだのは第5世代のV5というやつです。全体がアルミパネルで構成されており、デザインも秀悦です。

もちろん普通の空冷ファンや、最近割とポピュラーになってきた簡易水冷にも幅広く対応しているのですが、あえて私は本格水冷にチャレンジしてしまった次第です。本格水冷というのは、水冷PCに必要なパーツをそれぞれ自分で買い集めて組み合わせ、水路を自分で構成・加工して組み上げるというものを指します。設計次第ですが普通は本格水冷が一番、冷却性能を確保し易いと考えて良いでしょう。ただ、あらかじめ言っておきますが冷却性能を高めたいだけで本格水冷に手を出すのはおすすめしません。出費、パーツの入手性、必要な知識、手間、トラブル、その後のメンテなどなどの障壁に対し、冷却に関し得られる効果はそこまで高くは無いかなと。よく言われますが、まさに「水冷はロマン」であり、合理性は無いと思ってください。(笑)
自分は海外の人が、このNCASE M1で水冷PCを組んでいる映像を見て、自分もこれを目指したい!で始めたクチ。本格水冷はケース内での構成に決まりが無いため、海外の方の情報を参考に自分で設計案を作ってみて、必要なパーツを買い始めました。これが自分には楽しかった! ただ、本格水冷のパーツってなかなか売っているところがなく、自分は北米のperformance-pcsや、国内のCoolingLab、オリオスペック、あとはEKWBの直販サイトなどを駆使して揃えました。これも組んでみると設計通りにいかず、何度も買い直しして、結構な出費になりました。ほんとロマンじゃなかったらやってられないくらいのコストがかかります。もし、自分もやってみたいという人の(あくまで)参考に、完成後に修正した設計イメージを載せておきます。水冷のチューブにはより見栄えがよくなるハードチューブというのもあるんですが、より手間がかかるしメンテも大変になるので、自分はソフトチューブにしています。


ちなみに水冷というと、「水で冷やす」というイメージを持つ方もいると思いますが、水で冷やすのではなく、「水で熱を移動し、ファンで冷やす」のが水冷の考え方です。そのため、水冷で冷却性能を向上するには、ラジエーターとファンの能力が重要なキーになります。で、これがMINI-ITXというミニケースでは苦しいところで、どうしてもラジエーターの容量とファンの大きさに制約を受け、結果あまり高い冷却効果を得るのが難しくなります。このPCも底面に240mmラジエーターを入れているのですが、最初29.6mm厚のものを用意したものの、GPUのコネクタと干渉するので、20.5mmの超薄型のラジエーターに買い直しており、これが冷却性能を落としてしまっていると考えられます。
あとですね、チューブと水冷パーツの接続にはフィッティング(継ぎ手)と呼ばれるパーツを使うのですが、1個1個はたいした価格に見えないものの、必要数集めるとこれが結構な負担。しかもたいてい思った通りに構成できず、余計に買う羽目になります。また、このフィッティングのうち、コンプレッションと呼ばれるチューブを接続するものは物によってはチューブをはめるのにひと苦労するものもあり、自分は最初Touchaquaのコンプレッションを買い揃えたのですが、固くてはめられず、EKWBのロータリータイプのコンプレッションを買い直した経緯があります。アドバイスとして、コンプレッションはロータリー付きの方が絶対良いです! 接続作業時の自由度が全く違います。なお、自分はチューブ厚はID3/8-OD5/8という肉厚なやつを使っています。

そんなこんなで、リザーバーと呼ばれる冷却水のタンクの取り付けとか、配線の取り回しとか、毎週毎週試行錯誤しながらなんとか組み上げて、かれこれ1年以上経ちました。メインのPCはiMacを使っているので、あまり稼働していないのですが、フツーの3Dゲーム等を動かす分には冷却にも余裕があり、CPUは70℃台、GPUは50℃台で収まる感じ。Ryzen 2600Xは冷却が効いているとどんどんブーストを上げていく仕様なので、CPUの方が温度への影響が高い印象(その後調べたら、GPUの方が温度への影響高かったです、スンマセン!)。この時は室温にもよりますが、水温は30℃台中盤〜後半くらいかな。ただ、GPUとCPUをガンガンに食うゲーム(なぜかSTEEPなど)を動かし続けると、水温40℃台中盤まで到達します。さすがにここまでくると風呂よりも熱い水温なので、やべーかなと思います。水冷は温度の上がりは緩やかにはできるのですが、冷却が追いつかないと結局温度が上がってしまうので、冒頭に書いた通りラジエーターとファンに余裕を持つことが大事です。

本格水冷を組む上での注意点はいろいろあるのですが、冷却水の入れ替えを想定して、水抜き用のドレンバルブを下部に構成しておくことと、上部に圧力弁も兼ねたプラグをつけておくことは大事です。特に組み上げしたての頃は、水漏れが発覚して、水抜きして締め直してを繰り返したり、空気がまだ残っていて内部が膨張するので、時折圧力弁でエアを逃がす必要があります。自分はドレンバルブはスペースに制約があったため試行錯誤の末、クイックリリースバルブ(オス)を構成することで解決しました。水抜きの際はこれにチューブを付けたクイックリリースバルブ(メス)を接続して排水できるようになっています。これは自分でもなかなかうまくできたなと思っています。


で、このたび動かし始めたウイルス解析ですが、Folding@homeというプロジェクトで、もともとは2000年にスタンフォード大学で始まったプロジェクトが引き継がれて今に続いているもの。各家庭のゲーム機やPCなどを分散コンピューティング技術を使って科学研究に利用するというプロジェクトで、たんぱく質の解析情報をもとにスクリーニングし、色んな病気やウイルス対策に活かす、というものです。サイトからプログラムをダウンロードし起動することで、自動的に解析データが割り当てられCPUやGPUのリソースを使って解析し、終わったら解析結果が自動送信されます。今はコロナウイルスCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2の解析が優先度高く解析されており、自分のところにも関連した解析が頻繁に割り当てられてきています。

結局、コロナウイルスに関わる諸問題は、今は感染・発症を抑えながら早くワクチンが開発されることに尽きると思いますので、Stay Homeでも何か役に立てることを、と思い参加してみてます。ただこれ、Middle設定でもフルフルでCPUとGPUのリソースを使い続けることがあり、水温が50℃近くに達することも。部屋の暖房をつけなくて良いのはいいんですけど、ちょっと耐久性と電気代が心配にはなります。でもでも、当面は世界平和のために頑張ってもらおうと思います。

PC System
[M/B]
ASRock Fatal1ty AB350 Gaming-ITX/ac
[CPU]
AMD Ryzen 5 2600X Base 3.6GHz Boost 4.2GHz 6Core12Thread AM4
[Memory]
CORSAIR Vengeance LPX 16GB(2x8GB) DDR4 2666MHz(PC4-21300) C16 Red
[Storage1]
WD Blue 3D NAND SATA WDS500G2B0B
[Storage2]
Sandisk Ultra 3D SSD 1TB SDSSDH3 2.5inch SATA 6G/s
[Video Card]
ELSA GeForce GTX 1080 8GB S.A.C Base 1607MHz Boost 1733MHz
[Power Supply]
Corsair SF600 Platinum 600W 80PLUS PLATINUM
[Case]
NCASE M1 V5
Cooling System
[Pump&Reservoir]
BITSPOWER DDC RESERVOIR COMBO 150 ACRYLIC-PWM
[Reservoir Tube]
BITSPOWER WATER TANK Z-TUBE 100mm ACRYLIC
[CPU Water block]
EK Water Blocks EK-Velocity AMD Nickel+Plexi
[GPU Water block]
EKWB EK-FC1080 GTX-Nickel
EKWB EK-FC1080 GTX BLACK ANODIZED ALUMINUM BACKPLATE
[Radiator]
XSPC TX240 Ultrathin Radiator
BLACK ICE NEMESIS 92mm DUAL-CORE XTREME PROFILE RADIATOR
[FAN]
Noctua NF-A12X15 PWM 120x120x15mm 4-pin PWM 1850rpm x2
Noctua NF-A9X14 PWM 92x92x14mm 4-pin PWM 2200/1700rpm max
[Bracket]
Bitspower PUMP Universal Bracket – Full CNC
[Thermal Sensor]
Bitspower Touchaqua Digit Thermal Sensor
[Tubing]
Clearflo Tubing ID3/8-OD5/8 x5m
[Fitting]
EK-ACF Rotary Fitting 10/16mm – Nickel x10
Touchaqua G1/4 Rotary 45-Degree IG1/4 Exten(GS) x1
Touchaqua G1/4 Rotary 90-Degree IG1/4 Exten(GS) x10
Touchaqua G1/4-IG1/4 Extender Fitting(GS) x3
Touchaqua G1/4-IG1/4 Extender Fitting-15mm(GS) x1
Touchaqua G1/4-IG1/4 Extender Fitting-30mm(GS) x2
Touchaqua Dual G1/4 Fitting(GS) x1
Touchaqua Mini Dual G1/4″ Extender Fitting (GS) x1
Touchaqua G1/4 Stop Fitting(GS) x1
Touchaqua G1/4 AIR-Exhaust Fitting x1
Bitspower Silver Shining T-Block With Triple IG1/4 x1
KOOLANCE QD3-MSG4 No-Spill Coupling Male G1/4
KOOLANCE QD3-FS10X16-BK No-Spill Coupling Female 5/8 x 3/8
[Coolant]
EK-CryoFuel Acid Green (conc. 100mL)