11月初旬の連休に、信越トレイルのセクションハイクをしてきました。
斑尾山から戸狩温泉までのルートで、信越トレイルのセクション1から3の途中までに該当する部分のトレッキングです。
欧米では、1000kmを超えるロングトレイルが整備され、そこでは歴史に触れ、地元の人々との交流が生まれるといった魅力から、世界中のトレッカーが訪れています。日本でもこのようなロングトレイルを広めようと、数年前から地域やボランティアの方がルートを整備してきています。関田山脈の尾根上に設けられた「信越トレイル」は、その中でも老舗(といっても2008年とかですが)のロングトレイルです。セクション1からセクション6までの区間が設定されており、スタートは斑尾山、ゴールが天水山となっています。
この日本版ロングトレイルを体験してみたいとの思いから、年初より11月の信越トレイル行きを計画していたものの、全行程は80kmありスルーハイクしようと思ったら3泊は必要です。さすがに連休だけでは無理なので一部の区間だけを楽しむセクションハイクを計画。ブナの原生林で眺めが良いという評判のセクション4-5あたりをつまみ食いしようと思っていましたが、途中のテントサイトとなる光ヶ原キャンプ場が10月末で終了してしまっていたので変更してセクション1からのルートでチャレンジ。
斑尾山から赤池の区間がセクション1に該当する区間。「斑尾」と聞くとかつてのバブル時代にギャルが多いと評判だったスキー場を思い出しますが、斑尾山はまさにそのスキー場を登って下る感じ。登山口となる斑尾高原は昔懐かしのペンションが多い高原リゾートです。ま、はっきりいってナメていましたが、朝までの雨でぬかるんだ斑尾山の斜面が登りも下りもどう歩いても滑る状況で、想定外の苦戦。何度もコケて泥だらけ。もう笑うしかないって感じ。ちょうどこのあたりでトレランの集団に遭遇しましたが、その方たちの中にも転倒する人がいました。いやーもうどうにもこうにも、斑尾山への憎しみが増しました。(笑)
ただ、斑尾山からの下りはゲレンデを下るせいもあり、開けていて眺めは素晴らしい。妙高山の他、遠くには日本海も見え、パノラマが広がっていました。
万坂峠まで下りると普通の道路に出くわします。そしてそこからまた山に入ります。こちらのトレイルは斑尾山とはうって変わってフカフカの落ち葉が足にやさしく歩きやすい。それでも袴岳に向かう道のりは思っていたより長く感じ、だいぶ疲労が溜まりました。袴岳の山頂はまた景色が広がり、雲がかかっていたものの妙高山、黒姫山を臨めました。袴岳を下った後は林道に出てしばらく林道歩き。すでに足がパンパン。
この日は赤池のテントサイトで宿泊。持ってきた食材で豚キムチ鍋を作り、飯豊本山小屋のオヤジに教えてもらった日本酒「菊水」を堪能。この時期は鍋がカンタンだし良いですな。ちなみにテントサイトは我々の他に1人だけでした。
翌朝は晴れて、赤池には霧が立ち込めていて幻想的な雰囲気。早めに出発し、朝日が昇る中の清々しい山歩き。セクション2に該当する赤池~涌井の区間は、最初に沼の原湿原の中を通りますが、ススキに囲まれた木道を歩くすごく気持ちの良い道。湿原を過ぎると少し山を登る感じになり、「生命の森」植樹場所という開けたビューポイントに出ます。ここからはまたもや妙高山の他、前日登った(憎き)斑尾山も見ることができます。
さらに先に進むと、少し下り希望湖という湖に出ます。ここに出た時にちょうど霧が立ち込めており、幻想的な景色が広がっていました。でも少し経ったらクッキリ晴れの景色に変化しました。この希望湖というのはかつて上杉謙信が川中島の合戦から撤退する際に助けたこく衛門という人に、「望みのものを何でも与える」と言ったところ、「金も土地もいらぬが、村の農業の安定のために水が欲しい」と言い、越後領だったこの池を信州側に流れるようにしたために付いた名前なんだそうです。こんな感じに要所要所に歴史知識が書いてあるので、特に謙信マニア(?)にはたまらないんではないでしょうか?
この先はまた山登り。毛無山というなだらかな山を越えると、涌井新池という池に出ます。やたらと池が多いですが、これらの池は人工ではなく全て自然に出来たものなのだそうです。こちらの池も麓の農業のために重要な役割を担っていたようです。この先はまた林道に出ますが、こんどは畑が広がる平野のようなところを歩きます。「あれ、山に向かわずにどこに行くの?」って感じの景色がしばし広がります。このように赤池から涌井に向かうセクション2は、変化に富んでいて楽しめます。
セクション3の始まりである涌井は、普通の道路が横切り、民家もある場所でした。本当はここに蕎麦屋でもあれば入っていたのに、お店が1軒も見当たりませんでした。残念! 涌井から先は、急な山道を少し登った後、単調な林道歩きが続きます。富倉峠というところでは、右手に長野側の飯山市の景色が広がります。そして紅葉と落ち葉の中の緩やかな登りを進んでいくと、黒岩山に着きます。ここもまた展望が開け、飯山市とその向こうの山脈が見渡せます。ここで急に雨が降ってきましたが、ちょうどシェルターがあったのでコーヒータイム。雨はその間に止みました。ラッキー。ここからはもう下るだけ。まずは桂池に向かっての下りですが、またまた雨が降ってきました。こんどは本降り。雨具を装着して進みましたが、雨に濡れた紅葉や落ち葉はまた艶やかで綺麗ですね。
甕に水が貯まっている風流な水場の太郎清水から、アスファルトの道を歩き桂池に到着。ここもよい景色の池なのですが、テントサイトには誰もいませんでした。ここから先も比較的紅葉が綺麗で、池や湿原を横目に見ながらの気持ちのよいトレイルが続きました。
セクション3は仏ヶ峰までは行かずに途中から戸狩トレイルを下ります。こちらはややマイナーなのか、結構草が残っているトレイルでしたが、迷うことは無く進めました。沢と合流した後、大ケヤキなどの立派な木を眺めながら下りていくと、戸狩温泉スキー場に出ました。あとは道路を下るだけ。戸狩温泉では、温泉のある民宿で1泊して帰りました。一応ロングトレイルということなので、地元の民宿、地元のローカル線を使ってみました。
最悪、全行程雨も覚悟していましたが、天気は思っていたよりはひどくならず、紅葉を味わえる山歩きができました。でも最初の斑尾スリップ攻撃に始まり、とにかく距離があり歩いて歩いて疲れた~。GPS記録では、総歩行距離約40km、累積標高は登り1800m弱、下り2300m強でした。
初めてのロングトレイルでしたが、通常の登山ルートとは勝手が異なり、地図はトレイルクラブの通販で入手したり、テントは事前Web予約が必要だったり、営業小屋が無かったり、アクセス方法に工夫が必要だったり、いつも以上に事前の計画が大事だなと感じました。あと、思ったより時間に余裕が無く、ゆっくり山歩きのはずが時間に追われて歩く部分もありました。とはいえ、一般道へのエスケープが多いのでいざという時の安心感があるのは良いですね。山歩きの1つの選択肢として、今後もロングトレイルは活用してみたいと思います。
でも、夏場は暑くてキツそうなので、行くならやっぱ秋かな。
Global BONSAI Galleries – 2014 Shinetsu Trail Section1-3 (myportfolio.com)